2025年の十五夜(中秋の名月)は、10月6日(月)です。
中秋の名月は太陽暦にもとづて、日付が決まります。旧暦では7月~9月が秋とされていたため、真ん中にあたる8月15日を中秋と呼びました。ちょうどこの時期に月がきれいに見えるため中秋の名月と呼ばれるようになりました。
「十五夜=満月」と思われがちですが、実は毎年必ずしも一致しません。
旧暦の8月15日が十五夜の日にあたるため、太陽暦では年によって日付がずれるのです。月の満ち欠けの周期(29.5日)と、カレンダーのズレが原因で、
「中秋の名月なのに、満月じゃない」ということも珍しくありません。
それでも昔の人々は、「この夜こそ月が一番美しい」と感じたのでしょう。
欠けていても満ちていても、その時の月を愛でる――そんな感性が、十五夜の原点です。
ちなみに今年は翌日の10/7が満月です。なので見かけ上はほぼ満月に見える明るい夜になるかと思われます。
お月見の楽しみ方:家でも外でも
・家で楽しむ「お月見」
一番手軽なのは、自宅でのお月見。
テーブルにお月見団子を並べ、ススキを飾るだけでも雰囲気が出ます。
ススキには「魔除け」や「稲穂の代わり」という意味があり、
本来は稲の実りに感謝する象徴でもあります。
小さなお子さんがいる家庭なら、白玉粉で団子を丸めて一緒に作るのも楽しい時間。
・外で楽しむ「月見時間」
せっかくなら、ベランダや庭先に出て夜風を感じてみましょう。
空気が少し冷たくなり始める秋の夜は、まさに月見にぴったり。
レジャーシートを敷いて、軽くお茶やスイーツを持ち寄る「お月見ピクニック」もおすすめです。空を見上げながら、日常の慌ただしさを少し忘れる時間――
そんな穏やかな夜を過ごすのも十五夜らしい楽しみ方です。
秋のこの時期は、天気もはっきりしない日も多いため天気の良くない日もありますが、そんな日でも感謝を込めて雲の向こうにあるお月様を見上げるということも大事にされてきたようです。
・余談ですが・・・
以前紹介したアニメのYAIBAでは、月からかぐや姫が襲ってきます笑
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お月見団子と「芋名月」
十五夜といえば、やっぱりお月見団子。
十五夜にちなんで十五個並べるのが基本とされます。
団子をピラミッド状に積むのは、秋の実りの感謝を月に伝えるために積み上げるという意味があるそうです。地域によっては、あんこをまぶしたり、平たい形にするなど、少しずつ違いもあります。
また、「芋名月」と呼ばれるように、里芋やさつまいも、栗を供える風習もあります。秋の味覚を楽しみながら、自然に感謝するというのが昔ながらのスタイルです。最近では、コンビニやカフェでもお月見スイーツがたくさん登場します。「お月見スイーツ」で検索すると、毎年たくさんの投稿が並びます。手作りでも、市販のスイーツでも、「月を感じる食べ物」で秋の夜を彩ってみるのもいいですね。
百人一首に詠まれた“月” ― 古人の感じた十五夜の心
お月見といえば、古くから日本人が親しんできた風雅の象徴。
その感性が色濃く残っているのが『百人一首』です。実はこの中には、「月」を詠んだ歌がいくつも登場します。
最近子供が受験勉強で平安時代をやっていることや、ドラマ”ちはやふる”などの影響もあってちょっと調べてみました。
たとえば、秋の夜の寂しさを詠んだ有名な一句に、
秋風に たなびく雲の たえ間より
もれ出づる月の 影のさやけさ
(左京大夫顕輔)
秋風にたなびく雲のすき間から、ふと顔をのぞかせる月の光――。
まさに「十五夜」の静けさを感じさせる一首です。煌々と照らす満月ではなく、雲間からのぞく淡い光に“情緒”を見いだすのが、古人の美意識。現代の私たちが「雲で隠れて残念」と感じる瞬間も、昔の人にとってはむしろ“風情”のある場面でした。
つづいて、
月見れば ちぢにものこそ 悲しけ
わが身一つの 秋にはあらねど
(大江千里)
月を見ると、あれこれきりもなく物事が悲しく思われる。私一人だけに訪れた秋ではないけれど。
今年のような暑い夏は特にですが、季節がすっかり変わって訪れる冬の前に、寂しさを感じつつ、なぜかいろいろと振り返ったり思い出に浸るにはとても良い季節です。月の形も空気が澄むことで輪郭がはっきりみえたり、日が短くなるのを感じることで明るさを感じたりもしますね。
百人一首に詠まれた月の情景は、千年以上の時を越えても変わらぬ人の心を映しています。もし今年の十五夜、静かな夜にひとりで月を眺める時間があるなら、そんな古人の心に少しだけ思いを馳せてみるのも素敵かもしれません。
スマホを置いて、ただ月を見上げる――。それだけで、日常の喧騒が少し遠のき、自分の中に静かな“余白”が戻ってくるような気がします。

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十三夜も忘れずに:「片見月」にならないように
十五夜とセットで覚えておきたいのが「十三夜(じゅうさんや)」。
旧暦の9月13日にあたり、2025年は11月2日(日)です。十五夜だけ見て十三夜を見ないことを「片見月」と呼び、昔は縁起が悪いとされていました。
十三夜は、十五夜ほど明るくはないけれど、どこか柔らかく穏やかな月が楽しめる日。
二度のお月見を味わえるのも、日本らしい風情ですよね。
まとめ:月を見上げる時間を少しだけ
十五夜は、ただの季節行事ではなく、自然や一年のめぐりに感謝するための日。
忙しい日常の中でも、ほんの数分だけでもいいから月を見上げる時間をつくることで、心が少し落ち着くかもしれません。お団子を並べて、ススキを飾って、月を眺める。
それだけで、いつもの夜がちょっと特別な時間になります。
2025年の十五夜は10月6日(月)。
晴れても曇っても、今年はぜひ夜空を見上げてみてください。
きっと、静かな光の中に、秋の訪れを感じられるはずです。