~パンフレットではわからない校風を感じ取る視点~
中学受験を考える家庭にとって、文化祭は志望校を知るための貴重なチャンスです。説明会では先生の話を聞く機会が中心ですが、文化祭では生徒たちが主役。
パンフレットや公式サイトでは伝わらない、“その学校らしさ”がにじみ出る時間です。
ただ、実際に行ってみると「どこの学校も明るくて楽しそう」で終わってしまうことも多いですよね。私自身も最初はそう感じていました。
けれどいくつかの学校をまわっているうちに、雰囲気の違いが少しずつ見えてきました。文化祭は、表面的な派手さを見るというより、“空気の違い”を感じ取る場所なのかもしれません。

生徒の立ち振る舞いから感じる「教育のトーン」
最も印象に残るのは、生徒たちの接し方です。
受験生や保護者に対してどんな態度で話してくれるか――これにその学校の教育方針が表れます。ある学校では、こちらが何か質問すると、明るく笑顔で答えてくれました。
まるで友達のように話してくれる距離感が心地よく、「この学校はフレンドリーで活発な子が多いんだな」と感じました。
一方、別の学校では、声をかけると立ち止まり、きちんと姿勢を正して答えてくれる。言葉づかいも丁寧で、全体的に落ち着いた印象を受けました。
説明会では「自主性を育てます」「礼儀を重んじます」といった言葉が並びますが、文化祭ではその結果を“実際に目で確かめられる”のです。
仲間同士の雰囲気は「日常の縮図」
少し引いた目線で見てみると、仲間同士の関わり方にも違いが見えてきます。
ブースの準備や呼び込みをしているとき、生徒同士がどんなやりとりをしているか。
真剣に打ち合わせしている学校もあれば、冗談を言い合いながら楽しそうに盛り上がっている学校もあります。そこには、日常のクラスや部活での人間関係がそのまま反映されているように感じます。
「発表を成功させよう」と一致団結する雰囲気の学校もあれば、
「楽しむこと」を何より大事にしているような学校もある。
どちらも魅力的ですが、わが子がどちらの空気でのびのびできそうかを考えるヒントになります。
クラス展示の有無が見せる“学校の自由度”
文化祭というと部活動の発表が中心になりがちですが、
学校によってはクラス単位の展示や出し物があるところもあります。こうしたクラス展示は、少し遊び心のある内容が多く、ちょっとしたゲームコーナーやおみやげ付きの企画など、どこか“お祭り”の雰囲気が強いのが特徴です。
あまりこれがあるかないかで学校の校風を示しているということまではないですが、受験生の子供からすると文化部系の展示よりも、こういった女子校なら可愛らしい装飾や手作り感ある催しが目を引き、記憶に残るようです。
中学生と高校生の関わり方にも注目
中高一貫校の文化祭では、どの学年が中心になっているかを見るのもおすすめです。これもどちらが主体であるかということでの良し悪しはないです。ただ、中学生が中心の文化祭では自分の子供がどんな感じになっているかをイメージしやすく、高校生が中心に運営していると、文化祭というイベントに遊びに来ているようなお客様感を感じられる場になります。ぜひそんなところも一つの観点として見てもらえるとよいかと思います。
保護者や卒業生の関わり方から見えるコミュニティの温度
文化祭を見ていてもうひとつ感じるのは、学校全体がどれだけコミュニティとして機能しているかです。飲食ブースや模擬店が充実している学校では、保護者の支援がしっかりしている印象を受けます。一方、卒業生が手伝っていたり、友人同士で訪れていたりすると、「この学校には帰ってきたくなる雰囲気があるんだな」と思います。
文化祭の場にいるのは、現役生だけではありません。
保護者・卒業生、その“参加している人の層”の厚みが、学校の温かさや愛校心の深さを物語るとも思いますね。通っているときよりも卒業したときに、より母校に対する想いは増えるものですね。
学校のきれいさと手入れのされ方
学校の建物はどうしても築年数による違いがあります。新しい校舎は当然きれいに見えますが、古い学校でも“手入れの行き届き方”には大きな差があります。
床や壁の状態、飾り付けの丁寧さ、掲示物の整理整頓。そういった細かい部分に、生徒たちの丁寧さや学校全体の姿勢が表れることがあります。
「古いけれど、なんだか清潔感がある」
そんな学校は、生徒や教職員が大切に空間を扱っている証拠。
文化祭ではそうした“空気の清潔感”にも目を向けたいところです。
自分の子供がいるイメージが湧くか?
文化祭は、学校を評価する日ではありません。「わが子がここ6年間を過ごす姿を想像できるか」それを確かめる時間です。住めば都という言葉もあるので基本的にはそこまで躍起になる必要はないと思っていますが、たとえば見学している最中に、子どもが笑顔で展示を見ていたり、自然と質問していたりする学校があれば、そこには何かしら“合う要素”があるはずです。
#物がもらえる、おいしいものが食べられるにずいぶんとまだ引っ張られますが。。。
文化祭は、受験のための情報収集というより、
「子どもが自分らしく過ごせそうか」を見極める時間です。
一日の見学を通して、ぜひ“学校の空気”を感じ取ってみてください。
きっと、その経験が志望校選びの背中をそっと押してくれるはずです。